今回の記事では、山善さんから販売されている、台所(?)から模型部屋まで様々な場面で活躍するユーティリティー食器乾燥機 YD-180の実力を検証してまいりたいと思います!
乾燥時間短縮効果、サイズ感や使い勝手に加え、実際どれほど効率化できるのか、注意点も含めてまとめました。
山善乾燥機(YAMAZEN YD-180)の詳細

今回の検証で使用する乾燥機はコチラ!
商品名 | 食器乾燥機 YD-180 |
販売元 | YAMAZEN |
サイズ | 41×40.5×34.5 (幅×奥行×高さ) |
電源 | AC100V(50/60Hz) |
消費電力 | 180W |
食器乾燥機として誕生したこの製品、食器はなかなか乾きにくいけれど、プラモの乾燥には最適なのでは…?
とモデラ―界隈で話題となり、もはや白物家電ではなくホビー用品のような扱いのこの製品(震)
かくいう私も、一度も食器を乾燥させたことはなく、プラモデル専用の乾燥機として愛用しております(笑)
有名メーカーの模型専用ドライブースを販売終了まで追い込んだこの製品の実力と魅力を…ゆる~く検証していきたいと思います!
サイズ感
外装のサイズ感は41cm×40.5cm×34.5cmと大きめ。
イメージ的には標準サイズのMGの箱を3段くらい積み上げたくらいの感じです!
説明書には左右背面上面に4.5センチ以上スペースほ確保してください。と明記があるので、その部分も加味すると45.5cm×45cm×39cmの設置スペースが必要になり、結構な場所を取ります!
中のサイズ感は35cm×35cmくらいで、Mr.HOBBYさんのMr.トラの手ステーションが綺麗に1個、Mr.ネコの手ステーションであればキレイに2個収まるサイズ感です!

トラの手ステーション1つでかなりの本数のクリップを挿せるので、
一気に仕上げるような場合を除いては中に入れられる容量的には問題ない感じで使って行けます!
サイズ感的に使いづらいと感じる部分はカバーの高さですね…

カバーが全体的に丸みを帯びていて、低い部分と高い部分の差が大きいので、
大きいパーツの場合、中央に挿す、横に寝かせてクリップで挟む等の、挿し方やクリップの挟み方を工夫する必要があります。
1/144サイズのシールドの様な大きいパーツでは、
市販のクリップで真ん中あたりを掴んで挿しても天井ギリギリで、
そ~っと…慎重に乾燥機内に入れないとぶつかって傷になりそうなレベルです…
私の場合、写真のMGサイズのシールドのように、クリップを半分にぶった切って高さを調整しながら使用しています!
乾燥機内の温度は??
YD-180は温度設定が出来ないので、機内温度が気になるところ…
そこで乾燥機内の温度がどのくらいで保たれるのかを検証してみました!
下の画像は電源投入後からの温度変化の経過観察の様子になります。

電源を入れてから30分ほどで39.2℃まで上昇し、1時間後には41.5℃まで上がりました。
この後は41℃前後で安定し、これ以上の温度上昇はありませんでした。
乾燥時間はどのくらい短縮されるの??
塗膜の乾燥状態は目視では完全に把握できないため、あくまで理論上の目安です。
乾燥機内はおよそ40℃で安定するため、
アレニウスの法則に当てはめると、室温25℃の場合、理論上では乾燥速度が約3倍に高まります。
さらに温度上昇により相対湿度も半分ほどに下がるため、白化の防止に加えて乾燥がもう一段早まる印象です。
■アレニウスの法則とは
アレニウスの法則は「化学反応が温度でどのように変化するか」を示す法則で、10℃上がるごとに反応速度が約2倍になるとされます。これを「10℃2倍則」と呼びます。
GSIクレオスの公式によれば、Mr.カラーの場合、
重ね塗り可能な状態には1時間~1日程度、完全乾燥(=溶剤が完全に揮発した状態)には常温で約1週間が必要とされています。
一方、模型製作の現場でよく言われる「24〜48時間」という目安は、
厳密には完全乾燥ではなく、上塗りやトップコートなどの次工程に進んでも大きな問題が起きにくい“実用的な乾燥時間”を指していると感じています。
乾燥機を使用することで、この常温48時間に相当する実用乾燥が、
理論上およそ6〜12時間で可能になると考えられます。
これは乾燥機内の温度からアレニウスの法則を適用し、さらに温度上昇による相対湿度低下の効果を加味した予測値です。

平日の仕事後や休日に一気に作業を進めたい私にとって、24~48時間の乾燥時間は意外とネックでした。
この時間が短縮されるのは、正直かなり大きなメリットだと感じています。
また乾燥が早まることで、塗装直後の「ホコリが付着しやすい柔らかい段階」を短時間で抜けられるのも利点のひとつと感じています。
そのため、私自身もパステル系など乾燥後に色味が変わりやすい塗料のチェックや、ホコリ付着を防ぎたいときに乾燥機を活用しています。
注意点
乾燥器は短時間で乾燥できる反面、理論上は乾燥が急激に進むことで以下のようなトラブルにつながる可能性もあります。
- 表面だけ早く乾きすぎて、艶が落ち着かない
- 厚塗りに時に内部の溶剤が抜けきらず、後からヒケがでる
- 溶剤の揮発が急すぎて塗装表面がわずかに荒れる
ただし、これは厚塗りや極端な条件で起きやすい現象で、通常の使い方、塗り方であればほとんど問題になる事はありません。
むしろ乾燥が早まるメリットの方が大きく、効率を重視する制作であれば非常に頼りになる存在です。
パーツ洗浄の水洗いの乾燥の場合は?
塗装前の水洗い後の乾燥も塗料の密着性を左右する大事なポイントなのでかる~くまとめておきます!
常温乾燥の場合
表面の水滴は1~2時間程度で見た目は乾きますが、
裏面のくぼみ・モールドの隙間には水分が残っています。
完全に内部まで乾くには安心ラインまで乾燥させるには、湿度が高い時期や環境の場合、24時間~48時間程度は必要です。
乾燥機を使った場合の目安
30分~1時間程度で見た目は乾燥します。
裏面のくぼみ・モールドの隙間に残った水分も3時間程度でほぼ抜け切ります!
温度が安定して相対湿度が下がる分、乾燥時間が安定します!
注意点
乾燥器を使っての水洗い乾燥の場合、
水分が一気に蒸発し残ったミネラルや洗剤成分が表面に固定されやすくなります。
特に水道水のカルシウムやマグネシウムが原因で、白い輪や曇り(水垢)として残りやすくなります。
対策として、洗いっぱなしで乾燥機に入れるのではなく、
水滴をエアーで飛ばす、キッチンペーパーなどで可能な限りふき取ってから乾燥機に入れると安心です!
まとめ
乾燥機を使うことで、時間のかかる塗装や水洗いの乾燥時間を大きく短縮し、ホコリの付着を軽減してくれるので、効率よく安心して作業を進めたい方には心強い味方になってくれるはずです!
そして何より面白いのが、発売当初は4,000円ほどで投げ売りされていたこの乾燥機が、今では1万円近くまで値上がりし、某メーカーの模型用乾燥機を引退に追い込んだという事実(笑)。
もとは食器乾燥機なので大きなパーツには不向きな面もありますが、HGやMGクラスであれば問題なく活躍してくれると感じています!

おまけ 電気代はどのくらい?
山善YD-180の消費電力は180W。
仮に電気代を1kWh=31とすると…
・1時間使用 → 約5.6円
・8時間使用 → 約45円
つまり、缶コーヒー1本我慢すれば24時間まるっと使えます(笑)
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