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【番外編・塗装比較】メタリック塗料は沈みやすい?Mr.カラー C9 ゴールド(金)(Mr.COLOR)で検証してみた

Mr.HOBBY(GSIクレオス) Mr.COLOR 番外編 メタリック ゴールド系 / Gold

どうも、当サイト管理人のりりえもんです。

今回は寄り道検証です!
Mr.HOBBY/GSIクレオスから販売されているMr.COLOR Cを使い、
メタリック粒子がどのくらい沈みやすいのかを検証しました!

私の主観になりますが、今回の検証での印象としては、
「それでも!攪拌して守りたい発色があるんだ!」
こんな心持ちで頻繁に攪拌しないと、Mr.COLOR C9 ゴールドは痛い目に合います(笑)


この結論に至るプロセスを写真つきでまとめています。
「見せてもらうか、りりえもんの新しい検証記事の性能とやらを!」
こんな気分でさくっとどうぞ!

今回の検証内容

今回の検証は大容量ボトルのハンドピースを使用し、
2種類の塗装方法で14枚のサンプルに塗装をしていきました。

▼塗装方法
①サンプル1枚毎に、毎回逆噴射をしてこまめに攪拌しながら14枚
②最初に攪拌して以降、一切攪拌せずに14枚。

上記の条件で塗装を行い、粒子の沈み方、発色にどの程度影響があるのか~を検証していきます!

今回検証する塗料・下地・トップコート詳細

▼今回比較する塗料は、Mr.COLOR Cです。

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▼使用する下地色は黒1色となります。

使用する下地色
  • ブラック

下地・トップコートの希釈率や使用した塗料の詳細は以下の通りとなります。

  • 検証する塗料
  • サーフェイサー

Mr.COLOR Cに使用した薄め液と希釈率は以下の通りとなります。

薄め液 T-09 メタリックマスター
希釈率 1:3(塗料:薄め液)

今回使用したサーフェイサーは下記1種類となります。
薄め液と希釈率は以下の通りとなります。

薄め液 T-01 ガイアカラー薄め液
希釈率 1:2(塗料:薄め液)

使用したサーフェイサー
  • ブラック
    GS-03 サーフェイサーエヴォ ブラック

塗装方法、注意点

  • 注意点
  • 塗装方法
  • 薄め液

■塗装環境
希釈率や吹き付け圧は、ご使用の塗料の状態や作業環境によって最適な設定が異なります。
ハンドピースの口径や使用するコンプレッサーの出力などにも差が生じるため、最終的にはご自身の環境に合わせて調整をお願いします。
仕上がりの違いを楽しみつつ、ご購入前の参考程度に観てもらえると幸いです。

■乾燥時間
当サイトでは作業効率を重視して、乾燥には山善YD-180を使用しています。
乾燥機を使用する事で常温乾燥の3倍程度の乾燥効果があると判断しています。

■サーフェイサー
下地は1コートですが、サンプルには透明スプーンを使用しているため透け感が出やすく、作業効率を重視して両面塗装で透けを軽減しています。

■Mr.COLOR C
発色等は特に意識せず、パーっと1往復

サンプル作成が主な目的なので、ホコリ等の配慮はあまりしておりませんでご了承ください。
あと、私は塗装が上手いわけではないので、多少のムラも温かい目で見ていただけると嬉しいです(震)

塗料メーカーごとに推奨されている薄め液はありますが、当サイトのサンプル作成では作業効率や乾燥速度を考慮し、速乾性の高いガイアノーツ製の薄め液を使用する場合があります。
使用塗料とは異なるメーカー製の薄め液を用いることもありますが、いずれも同じラッカー系溶剤であるため、色味や定着に大きな影響はないと判断しています。

スペアボトルで沈下を観察

まず塗装の前に、
希釈済みの塗料をスペアボトル内で放置し、沈下後の状態を確認して、成分の予想を立てていきたいと思います。

写真のように、攪拌直後は均一ですが、
しばらく置いておくと粒子が沈殿して上澄みが透明に層分離が起こります。

透明層の上の薄い層は、成分分析をしたわけではありませんが、
おそらくバインダー(樹脂成分)ではないかと推測します。

ここから推察するにおそらく、
Mr.COLOR C9 ゴールド(金)は、金属粒子による発色がメインで、
その粒子の輝きを活かすために透明溶剤が使用されていて、
バインダーによって金属粒子と透明溶剤の相性の悪さを補っている設計の塗料なのだと思います。

でも実はこの設計には物理的な矛盾があるんです…

金属粒子と透明溶剤は相性が悪い?

粒子と溶剤が均等に混ざり合った状態で塗布することで、綺麗な輝きを得られるのがメタリック塗料の魅力です。

しかし、ここでひとつ問題があります…
金属粒子と透明溶剤は、物理的・化学的には相性が悪いのです。

▼金属粒子と透明溶剤の相性とは?

要因透明溶剤の性質金属粒子への影響
密度低い粒子が沈みやすい
粘度低い浮遊力が弱い
科学的相互作用弱い分散が不安定
表面吸着力低い凝集しやすい

上記図のように透明溶剤は粘度が低く、
粒子を浮かせておく力が弱いため、粒子はすぐに沈んでしまいます。

また、溶剤は粒子表面に吸着して安定化させる力も持っていないため、
粒子同士がくっついて沈降が加速することもあります。

ここで登場するのがバインダー。
粒子を包み込み、分散を安定させる役割を担っていますが、
希釈や使用条件によってはその効果が十分に発揮されない事も…

分かりやすく例えるならば…

サラサラのスープに具材を入れたらすぐに鍋底まで沈んでしまいますよね?
でもトロトロのカレーに具材を入れたら、ゆっくり沈むか、しばらく浮いているはずです。

この”とろみ”を出すのがバインダーの役割で、言うなれば片栗粉のような存在。

…そ、そんな感じです(笑)

ただし、バインダーはあくまで補助的な役割でしかありません。
希釈によって濃度が下がると、”とろみ”も薄まり、粒子を支える力も弱くなってしまいます。

このような理由から、
Mr.COLOR C9 ゴールド(金)は、発色の美しさと沈降リスクが常にトレードオフの関係にある塗料と推察できます。

ここまでの検証でめっちゃ沈みやすそう…という想像はできましたが、
次は実際に塗装して、どの程度沈降するのか確認していきたいと思います!

塗装比較

ここでは最初にお伝えした条件を基に14枚のサンプルを作成し、その写真を基に比較検証していきます。

▼常に攪拌しながら塗った14枚

都度攪拌塗装サンプル

サンプル1枚塗る毎にハンドピースを逆噴射をして塗装を行いました。
影の影響で少し見づらいですが、実際は14枚目まで均等な発色で塗れています。

希釈率1:3とかなり薄めの状態で塗ってはいますが、
こまめに攪拌しながら塗ることで、粒子の沈降リスクは回避できることが分かりました。

▼最初に攪拌してから一切攪拌しないで塗った14枚

攪拌無しサンプル14枚

最初に攪拌した後、一切混ぜずに連続で塗装した14枚のサンプルです。

実際に塗ってみると、予想以上に沈降の影響が顕著に現れました
5枚目あたりから徐々に発色が薄くなり始め、7枚目以降はほとんどメタリック感が失われた状態に。

さらに、ここには載せていませんが、
15枚目に再度攪拌して何度も重ね塗りを試みたものの、色が乗らない状態になっていました。
沈降した粒子が塗装初期(①~⑤枚目)に集中して使われてしまい、後半ではハンドピース内の塗料に金属粒子がほとんど残っていない状態だったんと推察されます。

この結果から、
攪拌が不十分な状態で塗装を続けていると、ハンドピース内の塗料はごく短時間で“メタリックとしての機能を失う”ことが分かります。

今回使用した塗料のリンク

▼Mr.COLOR C

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▼薄め液

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▼サーフェイサー

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まとめ

Mr.COLOR C9 ゴールド(金)メタリックは、金属粒子による美しい発色を実現するために、透明溶剤とバインダーを組み合わせた設計の塗料という印象です。
しかし、金属粒子と透明溶剤の物理的・化学的な相性は決して良くなく、沈降しやすいという構造的な弱点を抱えています。

今回の検証では、
希釈率を1:3とかなり薄めて使用しているため、バインダーの濃度が低下し、
粒子の保持力が弱まったことも沈降を加速させた一因だと考えられます。

それでも、攪拌の有無によって塗装結果に大きな差が生じることが明確に確認できました。
特に、攪拌を行わずに連続塗装した場合、数枚で金属粒子が使い切られ、メタリックとしての機能が失われるという現象が顕著に現れました。

今回はMr.COLOR C9 ゴールド(金)を取り上げて検証しましたが、
パール系塗料や、透明溶剤成分が多めのメタリック塗料も、同様の性質を持っていることが多いです。
つまり、この塗料に限らず、金属粒子を含む塗料は、攪拌をしながら丁寧に塗装することで、失敗のリスクを大きく減らすことができると感じました。

かくいう私も、別記事のサンプル作成時に「5枚に1回くらい逆噴射でいっか〜」と横着をかました結果、 途中で色がまったく乗らなくなり、近所のジョーシンに駆け込む羽目になった失敗民です(笑)

この比較が、みなさんの塗装ライフにちょっとしたひらめきを届けられたら嬉しいです。

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